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ステロイドと新薬の働き


アトピー改善には、西洋的または東洋的と、大きくふたつの考え方があります。

選択に迷った時、どちら寄りの捉え方による手段なのか、自分で考えられるようになりましょう。この章では西洋的なアプローチを学びます。



1. 西洋医療的アプローチ


西洋医療は、アトピー症状の背後にある炎症と免疫の異常を直接ターゲットとし、症状を迅速かつ強力にコントロールすることに優れています。

使うお薬として代表的なものは以下のとおりです。

ステロイド

極めて強力な抗炎症作用を持つ薬です。塗り薬では現在5つのランクがありますが、血管収縮力によってランクが決められています。

ステロイドには多くの作用がありますが、血管収縮作用により炎症に必要な血流が集められないので、炎症が鎮静する仕組みが主役となります。

プロトピック

塗る免疫抑制剤です。30年ほど前に新薬として発売された当時は、副作用のない魔法の薬と言われていましたが、時間が経った今、ステロイドよりも副作用が重いと考える医師も出てきています。

新薬(JAK阻害薬、生物学的製剤など)

炎症を引き起こす特定のサイトカインの働きをピンポイントでブロックするため、従来の治療で効果が不十分だった重症患者に対しても高い効果が期待される、と言われています。

西洋医療は「解剖の医学」と呼ばれます。人間を部位に分けて、さらに細胞を細かく見ていくことを得意とするので、新薬のようにピンポイントで働く薬を開発することができます。



西洋薬の現状


西洋薬のデメリットとしては、(現状では)全ての薬が「抑制」のためのものなので、本来体のために起こってる炎症を抑えてしまうことで、代謝(体の掃除)が進まないことです。

ステロイドには数々の副作用が存在し、私自身まだ副作用とともに生きています。

皮膚萎縮や酒さなどの皮膚症状から、時間差で起こるリバウンド(排出)、関節の腫れ、自律神経症、糖尿病、アトピー性白内障など副作用や後遺症の症状は多岐にわたります。

適切に使えば副作用は起こらないとされていますが、根本改善をしない限りは繰り返し使うことになるので、適切に使いたくても使えない状況になることが多々あります。

新薬については発売されてから時間が経たないことから、副作用の全ては明らかになっていません。

しかし、かつてのプロトピックがそうであったように、時間が経ってからなにかしらの副作用が出てくると予想する医師も少なくありません。

また新薬は費用が非常に高額になる傾向があり、経済的な負担が大きいこともデメリットです。

いずれにしても、日本皮膚科学会も明言しているように「薬は対処療法」です。炎症にはアプローチできても、「炎症が起こる理由」にはアプローチできません。

これは皮膚症状に限らず、「風邪を治す薬が発明されたらノーベル賞」と言われるように、病気そのものを治す薬は現状なく、症状のコントロールが薬で行われているということです。



ステロイドと代謝力


お子さんやご自身のアトピー改善を根本的に改善しようと考えた時に、一番最初に悩むのは、ステロイドを使うかどうかだと思います。

私は30歳目前で体が限界を迎えましたが、みんながそうなるかというと、そうではありません。

私が小学生の時に通っていた大人気の皮膚科は、自分の番が来ると幾つもある小さな個室に通されて、裸になって先生を待ちます。

先生が私の体を見て、薬のランクを看護師さんに伝えると、大きなステロイドのボトルを持った看護婦さんが、素手でそのステロイドを私の体がベトベトになるまで塗ってくれます。

(今は看護師さんがステロイドを患者に塗る場面では、看護婦さんに副作用が出ないように必ず手袋をして塗布します。)

その看護師さんを今でもよく覚えているのですが、その手が副作用で(皮膚が薄くなる)ビニール肌にはなっていましたが、とても健康そうで、それ以外の副作用は関係なさそうでした。

私とその看護婦さんの違いは「代謝力」です。

そもそものアトピーの成り立ちは内臓の機能低下から始まります。

そしてステロイドもまた、体内に入って使い終われば、処理されて排出されるべき老廃物になります。

代謝力が低いからこそアトピーになっているので、アトピーさんほどステロイドの代謝もうまくいきません。

逆に健康であれば、ある程度のステロイドは問題なく代謝できることになり、副作用に困ることもありません。

アトピーさんこそを使いたいものが、アトピーさんだからこそ、使いこなせない場合が多い。残念ですが、こういう仕組みなのです。

でも、こういった仕組みを知るからこそ未来を見据えた選択ができますね。



私たちが求めた世界


西洋医療で行き詰まったり、副作用やデメリットに悩まされている方も多いと思います。

けれど、それは同時に、私たち自身が望んでつくってきた世界でもあります。

「苦しさを今すぐ取り除きたい」誰もがそう願います。その思いに応えて発展してきたのが西洋医療です。

しかし、その発明から時間が経ち、私たちはまた新たな課題に直面しています。ここから先は、これまでとは別の次元の思考が必要になっていきます。

便利になり続ける世界。

昔は調べ物があれば図書館へ行き、目的の本を探して歩き回る必要がありました。けれど今はスマホに話しかけるだけで解決します。

便利さが増すほど、「すぐに結果が欲しい」という思考は強まります。

しかし、行き詰まる経験があるからこそ、私たちは本質に立ち戻ることができます。

アトピー改善のために培う思考力は、アトピーだけでなく、あらゆる物事の本質を見抜く力にもなります。

例えるなら、ゴミを燃やすための焚き火を炎症としたとき、西洋医療はゴミが燃え切る前に、その炎にバケツの水をかけて一気に消すようなもの。

一方で東洋医療は、ゴミが健やかに燃え切る、良い加減の炎が維持できるように風の量や向き、薪の配置を整えるようなものです。

西洋医療も大切な存在です。

ステロイドなどの薬も、命に関わる状況では迷わず使うべきだと思っています。

ただ、アトピーは日々の排出が間に合わずに起こる代謝活動です。

学力も筋力も数日で身につくものではなく、日々の積み重ねで育ちますね。排出力もまた、同じように少しずつ培われていくのです。

私は30年もの間、ステロイドと数年間はプロトピックも併用して、抑制に抑制を重ねて生きてきました。

その結果、30歳を目前に体が壊れたのですが、思い返せばその前からとっくに体は壊れていました。

汗がかけず、皮脂も出ない。疲れやすく、気力もない。

今思えば、体が持つ本来の代謝経路を塞いでいたので、そうなって仕方ない、ということです。

私の場合、汗がかけるようになったのは、脱ステからおよそ3年後のことで、背中にも汗がかけるようになったのは実に12年後でした。

皮脂腺の働きも実感できたのは、脱ステから6年が経ってからでした。

2025年、14年ぶりに起こった私の顔のリバウンドは、人生最後なのか、まだまだ続きがあるのか、誰にもわかりません。

「抑制」には、こうした長い時間軸での影響があることを、心に留めておいていただけたらと思います。








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