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アトピー改善の超本質


最初に、この教科書の中で一番重要な、アトピー改善を叶えるための軸となる部分をお伝えします。

この章以降にお伝えしていく内容は、その軸をより強く、ブレないものに育てていくための内容だと思ってください。

その軸は長期目線で見るとアトピー改善のみならず、今後一生役立つ、心身の健康の要となるはずです。

ぜひ、楽しみながらその軸を育てていただきたいと思います。



アトピー改善の分かれ道


アトピー改善しない人には、大きな段階の違いがふたつあります。

まず「本質を知らずに手当たり次第に改善策を試す」という段階と「本質を知ったものの迷いが消えず行動がブレる」という段階です。

まずは「本質を知ること」です。

本質を知れば症状や手法をどう捉えたら良いかがわかります。

次はその捉え方を「頭で分かった」状態から「腑に落ちた」状態まで持っていきます。

ここまできたら、どんな状況も、どんな選択肢も、迷わずに淡々と実践していくことが可能になります。

この教科書を読み込むことで

  • 軸が定まる
  • 具体的にすべきことが見える
  • 問題点の洗い出しができる
  • 改善に必要な要素がシンプル化される


など、現状で起こってる課題がクリアになるはずです。



炎症の仕組み


アトピー改善の本質に入っていきますが、まずアトピーの厄介な部分でもある「炎症」について知っておきましょう。

皮膚の炎症(皮膚炎)は、体内に侵入した異物や刺激、あるいは内部の異常に対して、体が自分を守ろうとする防御反応(免疫反応)の一種です。



1. 皮膚の炎症で起こる「5つのサイン」

医学的には、炎症には以下の5つの典型的な症状(炎症の5大徴候)があると言われます。


発赤(ほっせき): 血流が増え、赤くなる。
熱感(ねつかん): 患部が熱を帯びる。
腫脹(しゅちょう): 血管から水分が漏れ出し、はれ上がる。
疼痛(とうつう): 神経が刺激され、痛みや痒みを感じる。
機能障害: 腫れや痛みで、その部位が動かしにくくなる。


皮膚の炎症で起こる「5つのサイン」は、体がダメージを受けた部位に血液(免疫部隊)を集中させて、修復工事を行っている証拠です。

なぜ「5つのサイン」が起こるのかを簡潔に解説します。

  1. 発赤(赤くなる):現場へ急行 異物やダメージを発見すると、血管が拡張します。酸素や栄養、白血球をたくさん運ぶために「道路(血管)」を広げて血液を集めているため、赤く見えます。

  2. 熱感(熱くなる):エネルギー放出 血液が集まることに加え、体内で異物と戦ったり細胞を修復したりする「化学反応」が活発になるため、そのエネルギーが熱として放出されます。

  3. 腫脹(はれる):漏れ出す修復液 血管の壁に隙間ができ、血液中の成分(血漿や免疫細胞)が血管の外へしみ出します。これが「修復用の資材」として溜まるため、ぷっくりと腫れます。

  4. 疼痛(痛み・痒み):警報アラート 腫れによって神経が圧迫されたり、炎症物質が放出されたりすることで、脳に「ここが異常事態だ!」と警告を送ります。これが痛みや痒みの正体です。

  5. 機能障害:強制休業 痛みや腫れによって、その場所を動かせなくなります。これは、無理に動かしてダメージを広げないよう、体が「強制的に安静にさせている」状態です。


このように、炎症は不快なものですが、体が一生懸命、壊れた組織や異物を分解し、不要なものを処理し、新しい状態へと作り直そうとする

「代謝(=壊す・片づける・作り直す)」という体の再生プロセスそのものです。


2. 皮膚の炎症が起きる主な原因

原因は大きく分けて「外からの刺激」と「内側の要因」の2つがあります。

外的な要因

  • 刺激物・アレルゲン: 洗剤、化粧品、金属、植物、日光(紫外線)など
  • 感染症: 細菌(とびひ)、ウイルス(ヘルペス)、真菌(水虫)など
  • 物理的刺激: 摩擦、虫刺され、火傷、乾燥など

内的な要因

  • 体質: アトピー性皮膚炎などのアレルギー体質など
  • 生活習慣: ストレス、睡眠不足、偏った食事による免疫バランスの乱れなど
  • 病気: 内臓の疾患やホルモンバランスの変化が皮膚に現れることもある


こんな誤解がある

炎症は皮膚の表面に現れる症状だけのことだと誤解している人がいる。そうした症状としてだけでなく,生体防御反応の仕組みとして理解してもらうことが,患者の治療への意識を高めるためにも重要である。

炎症を完全に止めたり,抑えたりすることを望む患者がいる。炎症を必要以上に抑えることは,からだを守る働きを弱める場合もあることを,必要に応じて説明したい。

(「病院の言葉」を分かりやすくする提案 より引用)


このように西洋医療でも体全体を見た時に、炎症を必要以上に抑えると体を守る働きを弱める、と認識しています。

だけど、それがアトピーになると「まず炎症はきっちりと抑えましょう」と指導されることが圧倒的に多くなります。

それはどうしてなのでしょうか。



アトピー性皮膚炎の仕組み


まず、西洋医療におけるアトピー性皮膚炎の説明を引用します。

痒みを伴い慢性的に経過する皮膚炎(湿疹)ですが、その根本には皮膚の生理学的異常(皮膚の乾燥とバリアー機能異常)があり、そこへ様々な刺激やアレルギー反応が加わって生じると考えられています。

(日本皮膚科学会HPより引用)

このように、弱い肌に刺激が入って起こるのがアトピーだという解釈です。

掻くからさらにバリアが壊れて刺激が起こりやすくなる、そしてまた掻きこわす、という負のループを断ち切るために、その炎症を消しましょう、ということなのです。

西洋医療の強みでもあり弱みでもあるのが、部位ごとで分けて病気をみていく点にあります。

アトピーの場合は皮膚だけ眺めていても、薬で抑えたのに、なぜ症状が繰り返すのか?なかなか全容には辿り着けません。

炎症の項目でも出てきたようにアトピーは内的な要因(内因性)によって起こります。



アトピーは内因性


1. 【内臓】ー ゴミの発生源とオーバーフロー

アトピーの大きな背景は内臓にあります。本来、体内の毒素は肝臓で解毒され、腸や腎臓から排泄されます。

しかし、ストレスや食生活、薬の代謝などで内臓が疲弊すると、処理しきれなかったゴミ(未消化物や毒素)が血液・リンパへ溢れ出します。

体は命を守るため、メインの出口(便や尿)に代わって、サブの出口である「皮膚」からこの毒素を捨てようとします。

2. 【炎症】ー 現場での緊急工事

皮膚に毒素が押し寄せると、体はそれを無害化しようとして「炎症」という火事を起こします。

血液を現場に大量に集め(赤み・熱)、免疫細胞という兵隊を送り込んで戦わせる。

この戦いによって大量の「戦い終えたゴミ(死んだ細胞や炎症性物質)」が発生します。本来、これはすぐに片付けられるべきものです。

血管(静脈): 網目が非常に細かく、水分や小さな分子しか回収できません。

リンパ管(下水道): 血管の網目を通り抜けることができない「巨大なゴミ」を回収する唯一のルートです。

ゴミの内容: 炎症で破壊された細胞の残骸、高分子タンパク質、細菌、そして激しい痒みを引き起こす化学物質(サイトカイン等)。

3. 【リンパ】ー 下水道の渋滞(循環障害)

ここで最大の問題が起こります。

炎症で出た巨大なゴミを回収できるのはリンパ管だけですが、アトピーの肌は慢性的な炎症の「熱」や「腫れ」によって、組織全体が「水浸しのスポンジ」のように膨らんでいます。

この膨張した圧力がリンパ管を圧迫し、さらに炎症物質でリンパ液がドロドロに粘り気を出しているため、「液が重すぎて動けない」という機能不全が起きています。

また皮膚萎縮や癒着がある場合は、この下水道(リンパ)がペチャンコに潰れています。 出口を失った「痒み物質の元」が皮膚のすぐ下に溜まり、神経を刺激し続ける。

これこそが「痒みが止まらない」循環障害の正体です。

4. 【ステロイド】ー 循環を止める「鉄のフタ」

この状況でステロイドを使うと、一時的に見た目は綺麗になります。しかし、その実態は以下の通りです。

  • 炎症を止める: 掃除をしてくれる免疫細胞(清掃員)の動きを止める。
  • 配管を閉じる: 血管とリンパ管を収縮させ、ゴミの回収ルートを物理的に遮断する。
  • 結果: ゴミを外に出さず、無理やり「鉄のフタ」をして中に閉じ込める。 これを繰り返すことで、中ではゴミが濃縮され(肌が黒ずむ)、フタが重すぎて皮膚が薄く脆くなる(皮膚萎縮)という逆効果を招きます。

※ステロイドは急性期の炎症を抑える重要な薬です。ここでは「長期・反復使用時に起こりやすい体内循環の視点」を説明しています。



アトピーが治るプロセス


アトピーの原因は「内臓からの溢れ出し」と「リンパの渋滞」なので、解決策は一つです。

内臓を労わる: 新たなゴミを上流から流さないようにする。
フタ(ステロイド)を外す: 中に溜まったゴミを出す準備をする。
配管を掃除する(セルフケア): 道具や手を使って、潰れたリンパの道を開き、物理的にゴミを流してあげる。

このように、アトピーを根本からの改善を目指すのであれば、まずは炎症を出し切って終わらせてあげること。

そして炎症を繰り返す必要のない体づくりをしていくことが必須です。



アレルギーについて


アトピー性皮膚炎は、西洋医学ではアレルギー性疾患の一つに分類されます。

アレルギーは遺伝的要因が関与すると言われていますが、両親にアトピーや喘息がなくても、症状を発症する子どもは少なくありません。

近年、アトピー性皮膚炎は調査や定義によって差はあるものの、およそ10人に1人が経験するとも言われるほど身近な疾患となっています。

また、アレルギー性疾患全体では、約2人に1人が何らかのアレルギーを持つとも言われ、増加傾向にあります。

本来、アレルギー症状は幼少期に多く見られ、成長とともに軽くなったり、消失するケースも少なくありません。

その理由の一つとして考えられているのが、腸管の発達です。

未発達な腸管は、異物や刺激に対する処理能力が低く、その結果、本来は問題にならないものに対しても「これは処理しきれません」と、免疫が強く反応してしまうことがあります。

このような免疫の過剰反応として現れるものが、いわゆるアレルギー反応です。

腸管や免疫の仕組みが成長とともに整ってくると、異物処理のバランスが安定し、アレルギー症状が軽くなったり、治まったりすることが多く見られます。

※すべてのアレルギーが自然に消失するわけではありません。特に呼吸器に症状が出る場合は命に関わることもあるため、その場合は医療の管理をしっかり受けることが大切です。

ちなみに、私自身は医師から「食べられるものがほとんどないね」と言われるほど、多くの食材でアレルギー数値が出ていました。

アトピーがひどかった頃は、除去食のような生活をしていましたが、現在は特に制限なく、好きなものを食べています。食事が皮膚症状に影響することも、ほとんどありません。

脱ステロイド当時、約20,000あったIgE抗体(アレルギーの指標となる数値)は、時間とともに徐々に減少し、数ヶ月後には8,000ほどまで下がりました。変化が興味深く、しばらくは定期的に検査をしていました。

現在は検査をしていませんが、おそらくさらに低い数値になっていると感じています。(※参考として、IgEの基準値は170以下とされています)

また、花粉症などは「一度発症したら治らない」と言われることも多いですが、数値と実際に感じる症状は必ずしも比例しないことも少なくありません。

実際に、私の生徒さんの中には「花粉症の症状がほとんど出なくなった」と話される方も多くいらっしゃいます。

アレルギーや花粉症が出たからといって、過度に落ち込む必要はありません。

アレルギーは、身体からのサインの一つです。

内臓や体内環境の状態が整ってくることで、数値が下がる場合もあれば、数値とは裏腹に症状が軽くなっていくこともとても自然なことです。

「生まれ持った体質だから仕方がない」と決めつけず、体の内側を整え、機能を高めていましょう。



身体を変えるために必要なこと


私たちは細胞の集まりであり、その細胞は血液によって生かされています。 血液は内臓で浄化され、心臓というポンプのおかげで全身を巡ることができます。

ところが、内臓の働きが低下すれば血液は十分に浄化されません。

また、生きている人間であっても、血液が届かない部分は細胞が壊死します。壊死しないまでも、血流不足になっている部位は冷たかったり固かったりするものです。

汚れた血液が全身を中途半端に巡っている状態で、私たちの細胞は元気になれるでしょうか? そう、それはかなり難しいのです。

では、どのようにしていくか。 答えはとてもシンプルで、「内臓の働き」と「全身の巡る力」を高めていくことです。

そうすれば、浄化された血液が体の隅々まで届き、ひとつひとつの細胞が健康になります。

そして、血流とともに忘れてはならないのが「リンパの巡り」です。 血液が栄養を届ける「上水道」なら、リンパは老廃物を回収する「下水道」の役割を担っています。

リンパの流れを改善し、細胞の周りに溜まったゴミ(炎症物質や老廃物)をスムーズに排泄できるようになると、皮膚への刺激が減り、しつこい痒みの改善に直結します。

「入れる(血流)」と「出す(リンパ)」、この両方の巡りを整えることで、細胞の集合体である自分という人間が健康になっていくのです。

このシンプルな捉え方が、体を根本的に変えていくための軸となります。

情報に触れすぎると、この仕組みから思考が離れてしまうことが多いです。新しい知識を入れたとしても、常にここに立ち返る癖を付けていきましょう。

繰り返しになりますが、ここが最重要項目です。

アトピーは「免疫の暴走」などと言われると、コントロールが難しいような気がしてきます。

でも体全体を見渡せば、炎症(代謝促進)が起こるには必ず理由があり、本来は炎症そのものも宿主の命を守るために起こっています。

身体の仕組みを腑に落とし、その働きを信頼して、アトピーを必要以上に敵視しないこと。

そして、リンパを含む全身の循環を促し、炎症を慢性化させないための体づくりに注力すること。 これこそが最優先すべきことです。









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